PDGF vs BMP

製品名 通称 正式名 日本語名 形式 用途 メーカー名 保存方法 混合物 効果 参考資料
GEM21S rhPDGF-BB Platelet-Derived Growth Factor 血小板由来成長因子 遺伝子組み換え型 歯周組織再生 Osteohelth
(米国)
冷蔵保存
2-5℃
β-TCP 組織再生、骨再生 こちら
Infuse Bone Graft rhBMP-2 Bone Morphogenetic Protein-2 骨形成促進因子 遺伝子み換え型 骨再生 Meditronics
(米国)
常温 溶解用の蒸留水+コラーゲンスポンジ 骨再生  

 

■骨移植および骨代替材
自家骨移植は臨床的に有効な方法であり、骨増量法のスタンダードとして定着している。しかし、骨を採取部位への侵襲と、採取できる骨の量に限界があることが問題となる。一方、他家骨移植として用いられているDFDBA (Demineralized Freeze Dried Bone Allograft)はドナーから採取した骨を脱灰凍結乾燥した材料である。
骨提供者の
病理検査と骨の処理過程から推測してDFDBAを使用することによる疾病感染の危険性は極めて低いと考えられる。また凍結乾燥のみのFDBAもその効果は実証されている。一方、種々の形状のハイドロキシアパタイトやβ-TCPが骨代替材として使用されている。これらのリン酸カルシウム系材料は骨伝導能に優れているが、骨誘導能力がないので骨増量材として単独で使用することは難しい。そのため、自家骨移植や他の骨増量法(GBR、PRP等)と組み合わせて使用されることが多い。
 
GBR ( Guided Bone Regeneration )
歯周組織の再生法の一つであるGTR (Guided Tissue Regeneration)と同様に、人工の膜を用いて骨再生のスペースを作る方法である。ePTFE(GoreTex)やチタン薄膜の非吸収性膜、生体内で分解するコラーゲンやPLA/PLGAの吸収性膜が使用されている。GBRは、移植骨、骨代替材、PRP等と併用しておこなわれる場合が多い。確実な方法であるが、膜の露出等により感染を起こし骨を失うこともあるので慎重におこなう必要がある。
 
骨形成促進因子(BMP)
1960年代にUCLAのUristは、脱灰した骨基質を動物の皮下や筋肉内に埋入すると、骨組織が誘導される現象を発見した。Uristは、脱灰骨基質中のある種の活性物質が、皮下組織や筋肉内に存在する未分化間葉細胞を骨芽細胞に分化させたと考え、このような作用を示す活性物質をBone Morphogenetic Protein (BMP)と名づけた。1988年にBMPのcDNAクローニング、リコンビナントタンパクの作製とその骨誘導活性が報告された。現在BMP2 とBMP7を用いた歯科や整形外科領域での臨床応用に関する研究がおこなわれている。現時点ではヒトにおいて骨を増加させるためには多量のBMPが必要であり、臨床応用するためには解決されなくてはならない点が多いようである
 
血小板由来成長因子(PDGF)
FGF, TGF-β, IGF-1, PDGFなどの成長因子は異所性の骨誘導能を示さないが、骨増加作用を示す増殖因子である。特にFGF2は、骨折部に適用すると骨折の治癒を促進することから整形外科領域での応用が期待されている。FGF2は難治性潰瘍の治療薬として既に臨床応用されている。また、現在FGF2の歯周組織再生への効果について臨床試験が行われている。近い将来FGF2が歯科領域での局所的骨量増加に使用される可能性は高いと考えられる。
 
■PRP ( Platelet-Rich Plasma )
血管が損傷を受けると、血小板の凝集に続いて血液の凝固が起きるが、血液凝固塊は治癒機転へのシグナル分子と治癒の場を提供している。血小板中はPDGF、TGF-β、VEGF(血管内皮細胞増殖因子)等を含み、PDGFは細胞増殖作用、TGF-βは基質増加作用、VEGFは血管新生作用を示す。血小板は凝集すると、これらの成長因子を放出する。患者の血液から血小板を濃縮しゲル化させたものをPRPと呼ぶ。PRPを用いることにより、血小板含有の成長因子を多量に供給することが可能であり、治癒促進が期待できる。骨欠損部に適用するにはPRP単独では強度的に脆弱であり、骨代替材料あるいは自家骨と混入させて使用することになる。PRPを自家骨あるいはDFDBaと併用した臨床例が報告されている。
 
化合物の応用
骨量増加作用を示す化合物としてProstaglandin E類(PGE)、スタチン、TAK778がある。PGEは循環改善薬、胃潰瘍治療薬、スタチンは高コレステロール血症治療薬であり、TAK778は武田薬品の新規化合物である。このような骨増加作用を示す化合物は、製造が容易であり安価であることが利点である。既に患者に全身投与されているPGEやスタチンの安全性は確認されており、これらの化合物の局所適用における安全性は高い。したがって、近い将来これらの化合物が骨の増量に臨床応用される可能性は高い。
 
■遺伝子導入法
遺伝子導入法を用いて、骨の再生に必要なBMPなどの誘導因子を細胞に産生させ、骨の再生を促進する方法がある。現在遺伝子導入した細胞を動物に移植して骨組織を誘導することが可能になっている。一方、発現させたいタンパク(BMP等)の遺伝子を組み込んだ発現プラスミドDNAをコラーゲンと混和し移植すると、移植部位に遊走してきた細胞がプラスミドDNAを取り込み目的のタンパクを産生する(図1)。このような手法を用いることにより、実験動物の骨欠損部の治癒が促進する。ウイルスベクターを使用する遺伝子導入法は遺伝子導入効率が高い反面、現時点では安全性に問題がある。しかし、プラスミドDNAを用いる遺伝子導入法は安全性が高いと考えられる。現在プラスミドDNAを使用して血管新生の遺伝子治療の臨床試験がおこなわれている。骨増量に遺伝子導入法が応用される日も近いかもしれない。